歌わない日々

2017.06.25

私は歌わなくなった。
あんなに執拗に、歌しかないと思っていた幼少期の私は一体どこに行ったのだろう。
いつしか、歌いたい・歌が大好き、から、自分は歌っていくんだという自覚を持ちはじめて
それから、歌わなければに変わって行った。
辛そうだねとライブハウスの人に言われた。辛かった。
歌を道具にしてしまった。
頼り切って、他にも抱えなければいけない色んなものの間に、置き去りにしてしまっていた。

何かが満ちて、何かが欠ける。

私は歌わなくなった。
アマチュアで一人だから、引退も解散もない。
ただただ、歌うのをやめた。
音楽は、前より好きになった。
色んな種類の音楽を、体で楽しめるようになった。
だいたいどんな演奏を見ても、なにかしら、感じられるようになった。
これで良いのだと思いながら、どこかで、歌えたと思い込んでいる、いつかの自分の背中を見続けている。

なにが変わったのだろう。
自分?まわり?仕事?家族?
全部変わった。
小さいころ、ただただ歌っていた自分には、圧倒的に、なにもかもが足りなかった。
足りないから、ひたすら真っすぐで、信じていた。
あの頃と比べたら、とんでもなく今、満たされている。
あの頃欲しかったものは、だいたい手に入れているのかもしれない。
ただただ、歌って生きていくということ意外は。

世の中の、成し遂げている人は、きっと沢山の何かを手放して、ひたすらずっと、それだけを追いかけているのだろうな。
私は、でもやっぱり、幸せだ。

これから私が歌って生きていくためには、満ち足りているから、努力をしなければなんにもできない。
そんな当たり前のこと。
これからも、きっと小さな自分の背中は捨てきれないから、
どこかで小さく、歌っていけたらいい。